ポーランド民族舞踊入門


1.5つの民族舞踊
2.ポロネーズ(1)
3.ポロネーズ(2)
4.「マズルカ」
5.クラコヴィアク
6.まとめ








※「スーパーピアノレッスン ショパン」(NHK出版, 2005)掲載の拙稿に加筆したものです。無断転載はご遠慮下さい。平岩理恵

3.ポロネーズ(2)

<舞踊としての特徴>
男女のペアが列をなし、ゆったり優雅に歩いて会場を周回したり、全員が一列に手を繋ぎあい、スネーク状に練り歩いたりする。飛び跳ねることはなく、ステップは摺り足。1拍目は深くとり、2,3拍目はその推進力を使ってすっと前に進む。
舞曲としての特徴
・3/4拍子で中庸のテンポ
・典型的なリズムパターン: タンタタ|タンタン|タンタン
・女性終止(フレーズやカデンツ解決の主和音が1拍目以外の弱拍にくる終止形): タタタタ|タン|タン
・シンコペーションの多用、アクセントの移動(主に2拍目)

ショパンのポロネーズはこれを更に芸術的に高めた規模の大きな作品であり、踊ることを目的として書かれてはいませんが、舞曲の性格を踏まえれば不自然な演奏になることは避けられます。たとえば深いステップであるべき1拍目をないがしろにすると軽率な印象になりますし、逆にアクセントの施されていない8分音符を重く弾きすぎてしまうと舞曲としての推進力が失われてしまいます。曲の最後に現れる女性終止は、ペアが互いに向かい合ってお礼のお辞儀をする場面だと考えれば理解しやすいでしょう。舞踏会の入場行進でドレスの裾がもつれてしまわないように、あくまでも優雅に、焦らず演奏することが肝心です。